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                The agreement of Rudolf Steiner and Onisaburo Deguchi
                   ルドルフ・シュタイナーと出口王仁三郎の符合
                                                                   咲杜憩緩

 シュタイナー哲学体系【8】

人智学におけるキリスト存在・その1

 シュタイナー人智学におけるキリスト存在を理解するには、まずゾロアスターを知る必要があります。

 ゾロアスター教は、今日ではあまり知られていませんが、実は仏教やキリスト教に深い影響を与えたとされ、シュタイナーの人智学とも深い所で関係しています。実際、シュタイナーは、ゾロアスター教の神であるアフラ・マズダを、太陽神キリストと同一の存在だとしています。

 

 ただし、シュタイナーは、通常ゾロアスターと呼ばれる人物(一般的には紀元前六三〇年頃とされている)のはるか昔に、原ペルシア文化 (紀元前五〇六七〜二九〇七年頃)を創始した原ゾロアスターという人物が存在し、その存在をゾロアスターと呼んでいます。

 

 ●人智学における原ペルシア文化を創始したゾロアスター
           ↓
        紀元前五〇六七年頃 

 

 ●一般的なゾロアスター(ザタラス、ナザラトス)
           ↓
        紀元前六三〇年頃

 そして、この原ゾロアスターが、紀元前六世紀頃にカルディアにザタラス(ナザラトス)と呼ばれた人物として生まれ変り、再来したとしています。よって、今日一般的にゾロアスターと呼ばれる存在と、人智学の(原)ゾロアスターとをはっきりと区別する必要があります。

 シュタイナーはゾロアスターと星について次のように語っています。

 

「彼ら(カルディアの秘教学徒)は『(原)ゾロアスター』の中に人類の星を見ました。『ゾロアスター』という言葉は『黄金の星』、『光輝の星』という意味です。

 彼らはゾロアスターの中に太陽の反照を見ました。そして、この星が彼らの師としてベツレヘム(キリストの聖地)に再び現われる、ということが彼らの深い智にはやがて見えてきたのです。

 彼らは彼らの『星』に導かれ、この星が人々に与える最良のものの印をこの師に捧げました。ゾロアスターの霊統から人間に与える最高のものは、アストラル体の思考、感情、意志の中に受け入れられた宇宙の秘密に関する智です。」

 つまり、原ゾロアスターの中に反射していたのはキリスト存在であったことが解ります。

 そして、原ゾロアスターの弟子については、次のように述べています。

「(原)ゾロアスターは霊的に非常に高い人物でしたので、ペルシア文化を創始したのみならず、次のエジプト文化にも関与しました。―――ゾロアスターには、二人の弟子がいました。そのうちの一人は後のヘルメス、もう一人は後のモーセです。

 ゾロアスターは自らのアストラル体をヘルメスに与えました。ヘルメスの中にゾロアスターのアストラル体を見ることができます。ヘルメスはゾロアスターのアストラル体を纏(まと)うことで、ゾロアスターが有していた宇宙に関する智をエジプト民族に語り伝えることができたのです。

 モーセはゾロアスターからエーテル体を譲り渡されました。モーセはゾロアスターのエーテル体を纏うことによって、宇宙と人間の歴史を壮大な映像として見、旧約聖書の創世記を書くことができました。」

 ●ゾロアスターのアストラル体 → 弟子ヘルメスに与える
                → 宇宙に関する智

 ●ゾロアスターのエーテル体  → 弟子モーセに与える
                → 創世記を記述

 歴史的には、ヘルメス・トリスメギトスは、神秘思想や錬金術の歴史の中に登場する人物で、伝説的な錬金術師であったとされています。
 また、ギリシア神話のヘルメスとエジプト神話のトート神がヘレニズム時代に融合し、さらにそれらの威光を受け継ぐ錬金術師が同一視されて、ヘルメス・トリスメギトスと称されるようになったとも言われています。

 彼は占星術、太陽崇拝、ピュタゴラス、グノーシス思想などにも影響を与えたとされ、エジプトにおいてはアトランティスに由来する叡智を刻んだエメラルド・タブレッドの著者であるとも伝えられています。ただし、シュタイナーはヘルメスとトートを同一存在としており、ピュタゴラスはゾロアスターが転生したナザラトスに師事したとしています。

 ●ゾロアスターはナザトラスとして転生
           ↑
       弟子ピュタゴラスはナザトラスに師事

 シュタイナーはアトランティス時代には、北方系の民族と南方系の民族の流れが存在していたとしています。そして、北方系民族は外界を深く霊視することで上位の神々であるアフラ・マズダに出会い、ペルシア系のゾロアスターの秘儀に至ったとしています。一方、南方系民族は、自己の内面へと霊的に参入することで、下位の神界である死後の霊的な次元に至り、そこでミトラに出会い、後に古代エジプトのヘルメス学へ至ったとしています。

 

 そのため、ゾロアスター教は人間の「誕生から死までの間の生活」の意味を重視し、この世界の裏に神の存在を見るようになります。一方、古代エジプトの密儀は人間の「死から誕生(復活)までの間の生活」を重視し、死した霊の復活を見ていたのです。さらに、シュタイナーは、この二つの流れがカルディア−エジプト文化期に合流したのだと洞察しています。

 

 これを図にすると、以下のようになります。

 

◇アトランティス時代 

  ○北方系 
    外界を深く霊視することによって、上位の神界「アフラ・
    マズダ(キリスト)」と出会う。

           ↓
    ペルシアにおいて「ゾロアスター教」として説かれる。
    「誕生から死までの間の生活」の叡智を説く。

 

   ○南方系 
     自己の内面へと霊的に参入することによって、下位の神界
     「ミトラ」に出会う。
           ↓
     古代エジプトにおいて、「ヘルメス学」として説かれる。
     「死から誕生(復活)までの間の生活」の叡智を説く。


◇エジプト・カルディア時代に、南北の流れがエジプトで合流

  △ ゾロアスターのアストラル体の叡智は「ヘルメス」が纏う。
                        ↓

                         宇宙の叡智を説く。

  △ ゾロアスターのエーテル体の壮大な映像は「モーセ」が纏う。
                          ↓
                 →旧約聖書の創世記を語る。


           ↓
    ゾロアスターは、ダビデ家のソロモン系のイエスとして転生。
           ↓
    ダビデ家のソロモン系のイエス12歳で他界
           ↓
    ゾロアスターは、もう一人のナザレのナータン系のイエス
    に自我を移す



 

 従って、アフラ・マズダとミトラは、アトランティス時代の秘儀によって見出された「陽と陰」の神であり、「太陽と月」、「上位の神界と下位の神界」の神であることが解ります。
 そして、古代エジプトの秘儀やゾロアスター教の時代に、この流れが一つになり、後に、イエス・ベン・パンディラ(弥勒菩薩が転生した人物)が出現し、イエス・キリストの誕生へと時代が向っていったことになります。

 

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 シュタイナーは、このゾロアスターを導いた存在であるゾロアスター教の創造神アフラ・マズダが、キリストとしてナータン系のイエスに降ることになるとしています。このキリストと二人のイエスと関係は、人智学的に極めて重要とさているのですが、次回、改めて図解できればと思います。




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制 作:咲杜憩緩

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著書:ルドルフ・シュタイナー
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